20100920

Archiduino Project - vol.7

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今度の話もアプリケーションの話である。これも前回同様に可視化の文脈であるが、今度はPachubeに貯めたデータを3DCGモデラーであるGoogle Sketchup(GSU)上で表現するといったもの。Sketchupはフリーで手に入るCGモデラーとしてはきわめて優秀で、建築業界ではBIM(Building Information Modeling)と連携する際にも利用されることがある。

建築設備や環境の分野では、建築以後の場面でなんらかの数値を可視化したいという場面があると思われるが、設計図書の情報を手っ取り早く活用して3DCGで可視化するのに、GSUは適任であろう。GSUはRubyによって拡張する事が可能であり、その拡張性からも今後さまざまなアプリケーションのインフラになるのではないかと予想できる。

さて、今回は前述したとおり、Pachubeにアップされたデータを随時取得し、GSU上の3DCGモデルに対して付加情報を載せていくという事に取り組んだもののレポートである。結果として、想定していたとおりのシステムはことほどかように実装されたのである。いくつか問題点があるとすれば、それはGSUに由来するものであり、モデルの部品点数が多くなると表示に時間がかかるとか、半透明の表現がちょっとめんどくさいとか、そういったことがあるようだ。

なお、本システムの実装は@kousukekikuchiが担当した。

Archiduino Project - vol.6

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回はハードの話ではなくてアプリケーションの話。

Arduinoを使って住空間内のさまざまな環境データをセンシングしているが、単にセンシングするだけではなくて、最近はやりのARToolkitをつかってARによる可視化表現にトライしてみた。センシングしたデータはPachubeに保存されているが、マーカーを読むタイミングでPachubeからデータをダウンロードし、OpenGLによる3DCGグラフとして推移を表現する。類似のプロジェクトは、Pachubeによる公式のものも含め、すでに海外でいくつか報告されているが、実際の利用に際する問題点の検討などをする上で、自分で実装する事はやはり大事な事であろう。

さて、ARにまつわる問題として、そもそも「マーカーを読んでAR表示する」といったことを汎用的に利用できるハード・ソフト基盤が整っていないので、そういうものが出てこない以上、コンテンツの提供側はハード・ソフトも一緒に提供していかなければならない。そのことがAR普及における巨大なハードルになっていることは明らかだ。その辺を突破するのが「セカイカメラ」かと思っていたけれど、いまや寂しいくらいその火は消えてしまったようだ。

この件についてはひとまず保留することとして、ARで表現すると確かにさまざまな付帯情報を載せる事が出来る。データの推移を見せたり、色を変えて見せたり、拡大縮小したり、動かしたり。単に「30℃」と表示されるだけでなく、それが「上昇し続けた上での30℃」なのか「下がって30℃」なのか、そう言った事もわかることで、それを見た人間の理解は深みが増し、判断の幅が広がる。結果として、さまざまな行動を起こす契機となる。

情報技術によって支援されるべきこと、今回の文脈でいえば「拡張されるべき現実」とは、このような「人間に本来的に備わっている知能をより幅広く活用できるようにすること」であるに違いない。