20101030

Archiduino Project - vol.12

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

いままでは独自のプリント基板を用意するような方向性で検討を重ねてきたが、ある時ふと「ちょっとした用途」みたいな場面でさっくり組めてさっくり使える自作Arduinoがあるとべんりだな、などと思ったので、これまで自作してきたArchiduinoの構成をブレッドボード上で実現する回路を考えてみた。右掲のものがそれである。

各種センサから受け取ったデータをXBee経由でハブノードに送信するためのセンサノードという位置づけになっている。したがって、これはハブノードありきの構成となっているので、万が一、これを利用しようという人がいた場合はその点ご注意願いたい。データが取れているかどうかを検証するには、ハブノードがあるだけでなく、ハブノードからのデータを受け取るデータサーバもなければならない。つまり、Archiduino Networkの存在が前提である。

向かって右側がArduino本体の構成、左側がXBeeシールドの構成である。例によって必要最小限であり、本体基盤はLEDさえ省いてある。というよりも、構成上の都合で省かざるを得なかった。XBee変換基板の方で実装できるので、そちらでの実装に代えた。

正直なところ、この回路構成がベターなのかどうかについての保証はない。ただ、これで動作しているという事実だけが回路の有効性を示しているに過ぎない。レギュレータが2つも配された構成が良いのかどうかということも、正直なところ私には判断しかねるのだ。従って、もしこれを利用される場合には、その点について容赦していただきたい。

なお、27-30のa-d番地がデジタルピン、17-22のf-j番地がアナログピンに対応している。VCC、GNDについては上下端の+-列から取ればいい。スケッチについては、これは私のやり方だが、別のArduino完成基板上でスケッチをアップロードしたATmega328Pを使っていただきたい。

20101018

Archiduino Project - vol.11

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回も自分の備忘録的な内容ですが、私が普段よく利用しているセンサ類の一覧と、参考にさせてもらっているウェブサイトのご紹介です。まずはセンサ機器について。

★温度/温湿度センサ
・Sensirion 1チップ温度・湿度センサ(SHT-11):3,000円とちょっと高いが、実装は比較的簡単。デジタルI/O pinに接続。
・National Semiconductor 高精度IC温度センサ LM60BIZ:マイナス側の温度まで測れる。100円で安く、実装も簡単。
・National Semiconductor 高精度IC温度センサ LM35DZ:上記とほぼ同様。こちらも非常にお安い。

★照度センサ
・浜松ホトニクス フォトICダイオードS9648-100:1,000lx程度、つまり照明下の屋内程度まで計測可能。

★距離センサ
・Sharp 測距モジュール GP2Y0A21YK:80センチまでの短距離型。秋月だと400円だけど、千石で売っている浅草ギ研のものはやけに高かった気がする。
・Sharp 測距モジュール GP2Y0A02YK:150センチまでの中距離型。
・Sharp 測距モジュール GP2Y0A710K:100-550センチまでの長距離型。ちょっと値段が張る。

★電流センサ
・galileo7 Wattmeter Shield:現在販売中止中(?)。クランプ型の電流センサで電力の簡易計測。
・秋月電子 ブリッジダイオードDIP型 DF06M:ブリッジダイオード。7個入り100円。
・U-RD 超小型クランプ式交流電流センサ(φ10/80Arms):電流センサ。1つ1,500円くらいと言うのはちょっとお高いな。
・秋月電子 電解コンデンサ 220uF 25V:20円。

★風向・風速・雨量センサ
・Sparkfun Weather Meters:ちょっと大きいですが、風向・風速・雨量センサとして安価に入手できます。70ドルくらいですが、関税や送料などいろいろかかって1万円弱くらいになります。ストロベリーリナックスで7,350円で販売しています。

★無線通信(XBeeチップ)
・Digi XBee無線モジュール・チップアンテナ型:もっとも標準的なXBeeチップ。2,730円。
・Digi XBee無線モジュール・ワイヤアンテナ型:ワイヤアンテナ付きのXBeeチップ。2,840円。ワイヤアンテナの意味があまりよくわからない。
・Digi XBee Pro無線モジュール・チップアンテナ型:長距離を飛ばすならこちら。4,200円とちょっとお高い。

★圧電スピーカ
・秋月電子 圧電スピーカー(圧電サウンダ)SPT08:エラー報知用のブザーとして。もっと小型のものもありますが。

続いて、Arduinoの自作基盤製作に必要な部品などについて。

★Archiduino自作基板用部品
・秋月電子 低損失三端子レギュレーター5V500mA TA48M05F:AC電源からの入力電圧の調整に必要。5Vを出力。100円。
・秋月電子 低損失三端子レギュレーター3.3V500mA TA48M033F:上記で得られた5Vを更に3.3Vに変換。XBeeチップの作動に使用する。100円。
・秋月電子 水晶発振子 16MHz:16MHzの発振に必要。10個入り500円。
・秋月電子 絶縁型ラジアルリードタイプ積層セラミックコンデンサー 0.1μF 50V:主にバイパスコンデンサとして使用。10個入り100円。
・ATMEL AVRマイコン ATmega328P-PU:Arduinoの心臓部。250円。
・Digiインターナショナル XBeeチップ:出力の弱いもの(短距離型)と強いもの(長距離型)とがあるため、設置状況に応じて選ぶこと。2,730円~
・スイッチサイエンス XBeeピッチ変換基板とソケットのセット:2mmピッチのXBeeチップを2.54mmピッチに変換するためのゲタ。1セット500円というのはちょっと足元を見られている気がするが・・・
・秋月電子 カーボン抵抗(1/4W 4.7Ω):抵抗。100本100円。
・秋月電子 スイッチングACアダプター9V1.3A 内径2.1mm NP-12-US0913:Arduinoの電源として。750円はちょっと高いなぁ。
・秋月電子 2.1mm 標準DCジャック 内径2.1mm 外径5.5mm:ACアダプタから電源を受けるためのDCジャック。4個入り250円。
・秋月電子 ピンソケット(1×14pin):アナログ/デジタルの入出力端子用。50円×2点。
・秋月電子 ブレッドボード EIC-801:一番小さいというわけではないけれど、これで「Archiduino」のほぼ最小構成が可能。250円。
・秋月電子 両面ガラスユニバーサル基板:2.54ミリピッチのユニバーサル基板。60円。

上記の部品を使いながらひとそろいのArchiduino自作基盤を作成しようとすると、ブレッドボード(250円)+3端子レギュレータ2種類(200円)+発振子(100円)+ATmega328p(250円)+抵抗(100円)+セラミックコンデンサ(100円)+ACアダプタ(750円)+DCジャック(250円)+XBeeチップ(2,730円)+XBee変換基板(500円)≒5,000円といったところか。XBee関係を積むと飛躍的に高くなる。ACアダプタ、XBee関係を抜くとちょうど1,000円。10個単位で作ろうとすると、1個あたり約800円。まだちょっと値が張るな。

お次は部品・センサ類の販売店ウェブサイト。

★国内
秋月電子
千石電商
スイッチサイエンス
galileo7
ストロベリーリナックス

★海外
Adafruit Industries
Seeed Studio Depot
Liquid Ware
SparkFun

最後に、参考にさせてもらっているブログなど。敬称略。

建築農業工作ゼミ
建築発明工作ゼミ
なんでも作っちゃう、かも。

随時加筆していきます。

20101007

Archiduino Project - vol.10

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

この記事は過去の記事の再編集である。

ガリレオ7で売っている「Wattmeter」をようやく実装した。写真には搭載していないが、XBeeチップを直接シールドに実装でき、全体的にコンパクトに収まる仕様になっている。

配電盤の赤と黒のケーブルにU_RD社のクランプ型電流センサーを咬ませて計測を行う。扇風機とエアコン、冷蔵庫を稼働している状態で約10A程度の電流が流れていることがArduinoIDEに流れるシリアル出力の値からわかる。100Vの交流電源であるから、この状態でおよそ1000Wの電力を消費している事が推測できる。

この設置にあわせ、室温の変化を捉えながらある一定の温度に達した場合にエアコンのスイッチを入れるアクチュエータノード(Archiduino Project - vol.8参照)も一緒に稼働させた。ある暖かな日の室温と電力の推移を右記のグラフに示す。

ぎざぎざに推移するのがおそらく冷蔵庫であろう。グラフの右端で突発的に跳ね上がっているのはおそらくドライヤーによるものだ。また、後半の数値を底上げしているのは室内の照明や音響機器によるものではないかと考えられる。

さて、ここでは室温が33度を超えたとき(実際にはArduino自体の発熱を拾ってしまっているのでもう少し低い値であると考えられる)にエアコンのスイッチを入れ、30度を下回ったときにスイッチを切るという設定にしている。そのあたりのこともvol.8で書いた。

いうまでもないが、スイッチが入ると同時に電力も増加し、スイッチが切れると同時に電力が減少する様子が伺える。グラフに掲載している期間(約17時間)の消費電力は約3(kWh)であった。

今回は居室に人がいないときにもエアコンをつけるという操作を行ったわけであるが、これはあまりスマートな方法ではないだろう。今度は居室に人がいるかどうかを判別した上で操作を行うように変更してみたい。また一方で、現在の実装は16度に設定した冷たい空気で空調するようにしているが、25度くらいの設定温度でやんわり空調するような方法にした方が、居室にいる人の心理的な影響を考えれば、そちらのほうがよりよいのではないかと考えている。

さらに可能ならば、屋外から帰宅したときは一気に冷やし、在室状態が続いていたときは緩やかに冷ますとか、一般の空調にはちょっと真似のできない「コンテクスト・アウェア」なアクチュエーションまで実装できたら、文句はないな。

20101006

Archiduino Project - vol.9

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回はちょっとした思い出話とメモ書きです。

Arduinoに触れたときからいわゆる「Archiduino」の検討はすでに始まっていたといっても過言ではない。確かに、Arduinoボード自体は非常に良くできていたし、個人がArduinoをベースにしていろんなものをつくったり切ったり貼ったりというのは非常に簡単にできるすぐれた代物であった。私もその簡単さの魅力に取り憑かれたわけだし、その汎用性にはいまも夢中だ。

しかしながら、これを産業レベルで活用していこうということになると話はちょっと違ってくる。

端的に言えば、Arduinoの基本ボードには不要な機能や部品が多いと思う。例えば、USBでスケッチを読み書きするといったことは、ひとたびモニタリングシステムが運用段階に乗ってしまえばもうほとんど使わないで済むわけだし、もし書き換えが必要ということになればチップごと交換してしまえばいい。「Archiduino」実現の暁には、そもそもそのコントロール用の基盤が非常に安価になるはずだから、それごと交換してしまってもいいだろう。あるいは、デジタルやアナログの入出力ピンの数も、アナログが6つにデジタルが14個という構成だが、これもその半分程度に絞ってしまって構わないと思う。

さて、ここまで読んだ読者諸兄は思われただろうが、なぜここまでして「Archiduino」なるものをつくる必要があるのか。Arduino MiniやNano、Pro、あるいはArduino Fioといった、既存の小型基盤を使えば済む話ではないかと思われたことだろう。確かに「Archiduino」は車輪の再発明に違いないし、優れた先達たちの開拓してくれた道を行くようなものである。しかしながら前述したように、例えば住宅内でのセンシングといったような限定的な用途で実装しようとした場合、既存の小型基盤ではちょっとずつ要求仕様に満たないのである。

例えば、センシングのように24時間365日延々と動かす必要があるときは、リチウムイオン電池ではとても持たないわけであるから、AC電源を取ってくるしかないわけだし、宅内でZigBeeを使ったマルチホップを実現しようと思えば、XBeeチップを載せられなければならないわけだし、それでいて可能な限り小さくしたいわけである。できれば住宅設備として小綺麗なハウジングを用意してどこか壁にでもくっつけたいし、場合によっては壁の後ろに入れてしまってもいい。

とにかくそれらもろもろの要求仕様を整理すると、やはり独自に基盤を用意するしかないと考えるに至ったわけである。とまぁそんなわけで、いまはまだ自力でできるレベルで機能の選別と省スケール化を検討している段階だけれど、最終的には4センチ角の両面基盤に収めたいなと願っているわけである。

そんなことを考えている最中にATmega328pにブートローダを書き込む作業をする必要があったのだが、久しぶりすぎて手順を思い出せなかったのでメモっておく。つまるところ、以下のページ参照のこと。

http://www.geocities.jp/arduino_diecimila/bootloader/index.html

そういえば話は変わるけれども、Arduinoをベースにして商業用のシステムを作っちゃったりしたら、やっぱりGPLとかそういうのに抵触しちゃうのかな?法律の話はよくわかんないんだけれどね。