20110829

日本性神巡り - vol.1

日本各地に点在する「性神」を巡る旅。

その第1回目の記事は、性神伝承のなかでも特に有名な、道鏡に由来のある金精神社巡りについて取り上げることとする。場所は群馬県片品村に位置するが、この小さな祠へアプローチするには、国道120号、通称ロマンチック街道にある金精トンネル栃木側出口から若干の登山を経なければならない。そしてその山道はちょっとだけ険しいので、軽装での登山には注意を要する。トンネル付近の駐車場に車を止め、そこから延びる登山道から30分程度の山道を登る。今回はその山道を実況的に解説したいと思う。20歩ごとに一枚ずつ写真を撮影しているので、距離感の参考にして欲しい。

金精神社(wikipedia)

駐車場にある登山道の説明看板。金精神社についてはあまり情報がない。

登山道入り口付近。

看板が心許ない。

最初は土留めのコンクリート壁の縁を歩く。





ごつごつした岩肌の道を上っていく。既に心が折れはじめる。


ロープは積極的に利用した方が良い。写真ではわかりにくいが、道中はそれなりに傾斜がきつい。








ゴツい道は序盤だけ。






数日前の土砂降りで土砂崩れ的なものがあったようだ。登山道の途中が一部崩壊していた。崖側に滑り落ちると大怪我だろう。

この辺から森に囲まれる。



なんどでもいうが、ロープは使おう。先人の心遣いに感謝。


木々の根っこが階段になっている。


倒木もある。




階段の一段一段の蹴上げが膝下くらいまでの高さがあるので、体力的にかなりきつい。休み休み行くべき。




はしごを使って上っても良いし、これをよけて斜面を歩いても良いだろう。

ロープは(略。




徐々にではあるが、木立の生え方に変化が現れつつある。木が細く、散在するようになってきた。

途中に一カ所、案内が出ている。



ゴールに向かって一部下り坂のシーンがある。足場が悪いので注意。

前方になぜか中華風の祠が見える。残念ながらこれが目当ての金精神社である。


笹とアザミが足下に茂っている。

峠を登り切ったところ。いくつかの登山ルートの合流点なのだろう。

金精神社に到着。所要時間は片道30分くらいではないか。外観は神社というよりも寺院、それも道教の寺院とでもいうような外観である。(これってもしかして道教と道鏡を掛けているのか?)

金精神社内観。中央に50センチほどの陽石が据えられている。天然石を砕いて整形したようなつくりである。カリの部分が生々しい。

内部は思っていた以上に荒れておらず、度々参拝者がきていることが推察できる。この手の神社には珍しく南京錠で扉が封鎖されておらず、扉が風雨で開くことがないように置かれた石をよければ内部を見ることが可能である。祠自体はコンクリートブロックによる組積造で、外側を漆喰で塗り込めている。外側の漆喰は一部崩落している。

場所的にもよほど性神信仰に興味のある人か、あるいはたまたま通りかかった登山客ぐらいしか参拝者は訪れないだろう。たまたま通りかかったぐらいでは、この味気ない建物の中に何が入っているかなんて、わざわざ扉を開けて確かめることもないだろう。そんな寂しさの中に、道鏡が残していったとされるご神体が安置されているのだ。何とも切ない。

この神社らしからぬ神社は、そもそもコンクリートブロックの組積造である点も珍しいが、他の性神を祀る神社に比べて異なる点はといえば、水のわき出る泉や井戸、手水舎などが無いこと、山の稜線上に位置すること、祭りを行うための舞台(神楽殿や土俵など)がないこと、などがあげられる。

性神巡りをするにあたり避けては通れぬ場所――一度は行っておかねばならない場所――であるから行ってきたわけだが、なぜこんな場所にご神体が追いやられることとなったのか興味深い。

20110702

Archiduino Project - vol.20

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回の記事でついに20回目となり、個人的にはひとつの区切りを迎えたように思う。今回の内容は「Eagleをつかった自作Arduinoの回路設計」と「Fusion PCBをつかった自作基板の発注」である。各種センサーのコントロール基板(いわゆるマイコン部分)としての「自作Arduino」の製作は、この内容を持ってほぼ完成であると思われる。これ以降はおそらくそのバリエーションでしかないだろう。

これまではユニバーサル基板やブレッドボードの上に様々な部品配置をおこない、その上でArduinoを走らせると言うことを行ってきたわけだが、その方法に限界を感じるようになってきた。第一に、ダウンサイジングが困難であるということ。第二に、手作業の数が半端ないので時間的なコストが大きいと言うことである。確かにはんだ付けは楽しい、しかしながら、その労力はその楽しさをいつか損ないかねない。プロトタイプの作成段階をとっくに終え、いまや量産の段階に入らんとするとき、やはり方法の変革は必要だろう。

ということで、基板のプリントに手をつけるときが来たというわけである。ちなみに、千石電商などでも感光基板を売っているのを目にしていたが、結局これも道具やら材料やらの手配に時間とコストがかかるので、どうせならPCB(Printed Circuit Board)サービスを利用してやろうともくろんでみた。特に最近話題の「Fusion PCB」なる、中国は深玔にあるというローコストなPCBサービスを使ってみようというわけだ。ちなみにFusion PCBはすでに何度か利用したことのあるSeeed StudioのPCBサービスである。

PCBを利用するに当たり、最初にすべきは発注用のガーバーデータ(部品配置やシルクプリントなどのデータとドリル穴あけ用のNCデータとをひっくるめた意味とする)の作成である。ガーバーデータの作成は、よくわからんけど、とりあえずソフト上で回路図と基板上の部品配置図とを作成してからデータを書き出す、みたいな手順を踏むらしい。というわけで、ガーバーデータの作成の前に回路図を組まなければならない。回路図については、これまでさんざんArchiduinoを作ってきたワケなので、これと同じ回路で良い。というわけで、回路図を組むのにEagleを使ってみることとする。

ちなみにEagleはドイツ製の回路図作成フリーソフト。フリーの状態だと設計できる基板のサイズに制限(50x100mmくらい)があるが、シロウトのDIY程度であればこれで十分だろう。ちなみにEagleのすばらしいところは、回路図を組めば同時に部品の配置図まで作成してくれ(もちろん基板上の最終的な配置は自分でする)、配置を終えれば自動配線機能により最適化された配線をしてくれてしまうというすぐれものである。

世界中のユーザーに支えられているおかげで、Fusion PCBをはじめとして、世のPCBサービスに納品すべきガーバーデータの書き出し設定ファイルが手に入り、これをつかってぽんぽん進めていけば、なにも考えることなく基板発注が終わってしまうと言うわけだ。すばらしいというしかない。

たしかにEagleの操作性はちょっと今ひとつなところはあるが、それはあくまでIllustratorなどと比較した場合であるわけで、不便だなとは思いつつも慣れればたいした問題ではなく、フリーソフトとしては十分な完成度であろう。ちなみに日本語版はなく、有志が日本語化パッチを出している程度なので、その辺の覚悟は必要だろう。

Eagleの使い方についてはまた別な機会に譲るとして、回路図の作成→配置図の作成まで終わったら、Fusion PCBに納品すべきガーバーデータの作成である。これもFusion PCBから公開されている設定ファイルを読み込み、それにマッチするかどうかチェックすれば良いだけだ。不適合な箇所についてはアラートが出るので、主に配線とドリル穴とのクリアランスの問題だと思うが、その部分の修正を行えば良い。アラートが出なくなったら納品できるデータと相成ったわけである。

Fusion PCBへの納品方法は、Seeed Depotで販売されている「Fusion PCBクーポン」みたいなモノを購入し、その購入番号とデータとを先方にメールで送ればあとは中の人が宜しくやってくれるという寸法である。50x50mmの基板(×10枚)で9.9ドル、最も安い郵送方法だと送料が3ドルちょっとなので、トータルでも13.42ドルだ。1ドル87円換算だとすると、1,170円くらい。これで10枚のプリント基板が手に入るのだから、安いと言わざるを得ないだろう。ちなみに50x100mmの場合、15ドル上乗せである。

Fusion PCBに発注し、先方から「under processing」の返信が来たら、後は安心して10日ほど待てば良い。おそらくUPSなどの速達便を使えばもう少し納品が早いのだろうが、発注したモノよりも値段が張るので気が引ける。はやめはやめの発注が肝要だろう。発注して待っている間に秋月などに部品の手配をする(これもネット経由)のがいいだろう。

というわけで待つこと10日。香港ポスト経由で日本郵便が持ってきてくれる。書留である。小さな段ボール箱にエアキャップで梱包されている。このエアキャップ、日本のモノに比べて実に貧相で、ぎゅっと握るだけで相当数が破裂する。ともあれ、開梱、チェック、部品の実装を行い、動作の確認、というわけだ。

Twitterなどを見ると多くの先人たちがFusion PCBをすでに利用しているようだ。なるほどこの手軽さと安さは非常に魅力的である。送料にお金を掛けないと時間がかかるが、のんびり次回作のアイディアでも練りつつ待っているのが良いのではないだろうか。

ちなみに、今回発注したのは2品。ひとつは、これまでのArchiduino基板と互換性のある名刺サイズの基板。もうひとつは、ATmega328を使いつつも最小までダウンサイジングをしたモノとの2種類である。前者は50x100サイズになってしまうのでちょっと値が張る(1枚250円くらい)。後者は右の写真の通りで、2.54mmピッチのグリッドで14x14サイズ(38mm四方)に収め、AC駆動かつXBeeチップを搭載可能な基板とした。これで1枚120円なのだからすばらしいよね。

初めてPCBを利用して強く思ったのは、一度Eagleの使い方を覚え、PCBサービスの利用方法を覚えれば、おなじ「Arduino」という道具でも活用の幅が段違いに広がるということである。例えば、ちょっとした隙間に基板全体を収めなければならない場合でも、そのサイズに合うように回路を設計すればよく、配線が出来ないだとか、基板の大きさが合わないだとかが理由で、もろもろを断念することがなくなるのだ。これはすごい。それから、とりあえず現段階では、はんだ付けという作業は部品の実装だけに限られるわけであり、大幅な労力削減と正確性が確保された。確かにちょっとはんだ付けするに精密さが要求される場面があるが、職人でなければ出来ないというレベルではない。そろそろ各方面にばらまくことも考えてみようか。

20110612

Archiduino Project - vol.19

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回はサーバ側のプログラムについて。

これまでのプロジェクトではあまり触れてこなかったが、ハブノードはセンサノードから受け取ったデータを受信用のサーバに随時送信を行っているわけであり、当然サーバ側にはそのデータを受信するためのプログラムが動いている。私はサーバサイドで動くプログラムについてあまりというか全然知識がないので、とりあえず動けばいいや的に、例によってPerlでCGIを書き、HTTPのGETメソッドで送られてきたデータを受け取る、といういつもの方法を使うことにした。

Pachubeにデータを送るために、受信側のプログラム(サーバサイドで稼働)はeeml形式のXMLデータを書き出すこともやらせている。私の勘違いでなければ、Pachubeのアップデートのタイミングといっしょにeemlの書式(必要なデータ項目)も変わったりするので注意が必要だ。というわけで、サンプルプログラムを以下に掲載する。

Archiduino MBT - vol.1

なお、MBTとはこのArchiduinoプロジェクトが始まるきっかけとなった「Make Buildings Talk」プロジェクトの頭文字をとったものであり、これはその名残である。HTTPdとCGIの動くサーバを用意し、任意の階層に上記CGIを設置する。データファイルなどの保存のために、同じディレクトリにeemlとdataディレクトリを用意しておく(パーミッションは666など)。dataにはその日ごとに記録ファイルが作られ保存される。eemlにはPachubeへのアップロードに対応した(=Pachubeに随時参照させる)eemlファイルが保存されるが、フィードに関する設定情報をeeml直下にあるfeeddata.csvに記録しておく。これは例を参考にして、エクセルなどで適宜項目を作成して欲しい。

ちなみにハードの話であるが、私がサーバとして使用しているのはMac mini(Mac mini Serverではない)である。Mac miniはコンパクト/安い/デザインも良いというわけで、今後もなにかと重宝するのではないかと考えている。今はWindowsをブートキャンプしているけれども、今後はLinuxとかでやれないモノかと夢想中。

Archiduino Project - vol.18

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

今回は新型のハブノードについて。

Arduino DuemilanoveがUNOになるタイミングに合わせてイーサネットシールドもバージョンが上がりました。新しいイーサネットシールド、というよりもUNOではこれまでのハブノードのスケッチが動かない(使用していたライブラリに問題がある?)ので、これを機会にUNO+新イーサネットシールドの構成で再構成してみた。

というわけで構成は至って単純。UNOにイーサをのっけておまけに「もろもろシールド」を乗せただけである。

UNOとXBeeシールドとの相性は相変わらず悪いので、最近はXBeeシールドを使わないことにしている。従って、例によってXBeeはピッチ変換基板を「もろもろシールド」(※センサーやLEDなどをユニバーサル基板にのせたもの)にのせることで実装した。前作でもサーバへのアップロードに失敗すると圧電ブザーを鳴らすことにしているが、これはLEDの点灯だけにしても良いと思っている。ま、そこは趣味の問題。

次にスケッチ。結論から言えば完全移植には一歩至っていない。DNSサーバにドメイン名からIPを逆引きする部分については未実装だが、とりあえず静的IPという前提であれば問題はないと言うことにした(鋭意実装中)。ただし、DHCPによるローカルアドレス取得には対応済み。ちなみにDHCPのライブラリはこちらを使用。また、そのほかのライブラリとしてはPStringXBeeを使用している。

というわけで、バージョンゼロのスケッチを以下に掲載する。

Archiduino HUB - ver. 0

20110607

Archiduino Project - vol.17

建築系におけるArduino利用計画としての「Archiduino Project」。

Archiduino Project - vol.5でもすでに紹介しているが、自作のローコストArduinoを更新したのでレポートしたいと思う。

基本的な構成は変更がなかったという意味で、すでに私の中では完成されたものなのかもしれない。設計思想について以下にまとめてみる。

・名刺サイズのユニバーサル基板上で完結する(横23×縦15グリッドの範囲の中に収める)。
・XBeeの通信機能を持つ(ピッチ変換アダプタを介することは許容する)。
・デジタル/アナログ入力端子については、最大限利用可能な数を確保する(13+6でなくても良いこととする)。
・ATmega328P-PUを使う(小さいのとかはとりあえず考えない)
・スケッチは直接書き込めなくても良い(別途ArduinoなどでアップロードしたICを換装することでもよしとする)
・基本的にはACアダプタ(9V)挿したら延々と回り続ける仕様にしたい。
・なるべく必要最小限の構成を心がける。

写真のものはバージョン3.5である。

既存のバージョン3でも上記の条件をすでに実現していたが、Power LEDはピッチ変換基板のLEDと統合できたり、バイパスコンデンサの位置のせいではんだ付けの労力が大きくなってしまっていたことなどもあり、それらの点を変更したいと考えていた。また、スケッチのアップロードについても、既存の基板上の余剰スペースを活用して対応できるようにしてみたいとも考えていた。これらについて対応したのがバージョン3.5である。導線部分などのアクロバティックな構成を考えるのに苦心した。これはほんとパズルだな。だが楽しい。

3.5を作ってみて、スケッチのアップロードには対応しなくても良いのではないかと思ってしまった。やはり、ICへの書き込みは作業を切り分けて別途実施し、施工した基板にこれをがんがん嵌めて電源通して設置完了!という流れで良いのだとあらためて思い直してしまった。いちいちスケッチを描き直すような使い方を想定しないことが、やはりこのプロジェクトの前提条件であろう。

以下に構成部品を記す。

・秋月電子 低損失三端子レギュレーター5V500mA TA48M05F:AC電源からの入力電圧の調整に必要。5Vを出力。100円。
・秋月電子 低損失三端子レギュレーター3.3V500mA TA48M033F:上記で得られた5Vを更に3.3Vに変換。XBeeチップの作動に使用する。100円。
・秋月電子 水晶発振子 16MHz:16MHzの発振に必要。10個入り500円。
・秋月電子 絶縁型ラジアルリードタイプ積層セラミックコンデンサー 0.1μF 50V:主にバイパスコンデンサとして使用。10個入り100円。
・ATMEL AVRマイコン ATmega328P-PU:Arduinoの心臓部。250円。
・Digiインターナショナル XBeeチップ:出力の弱いもの(短距離型)と強いもの(長距離型)とがあるため、設置状況に応じて選ぶこと。2,730円~
・スイッチサイエンス XBeeピッチ変換基板とソケットのセット:2mmピッチのXBeeチップを2.54mmピッチに変換するためのゲタ。1セット500円というのはちょっと足元を見られている気がするが・・・
・秋月電子 カーボン抵抗(1/4W 4.7Ω):抵抗。100本100円。
・秋月電子 スイッチングACアダプター9V1.3A 内径2.1mm NP-12-US0913:Arduinoの電源として。750円はちょっと高いなぁ。
・秋月電子 ピンソケット(1×14pin):アナログ/デジタルの入出力端子用。50円×2点。
・秋月電子 2.1mm 標準DCジャック 内径2.1mm 外径5.5mm:ACアダプタから電源を受けるためのDCジャック。4個入り250円。
・秋月電子 両面ガラスユニバーサル基板:2.54ミリピッチのユニバーサル基板。60円。